マンションの建て替えって難しい その2

その1のつづきです。
マンションを建て替える場合、所有者の負担があるわけですが、では、負担する費用はどれくらいなのでしょうか?
あくまでも相場になりますが、1戸あたり1000万円!かかるそう。これに加えて、出て戻る「2回の引越し費用」と「仮住まい約2年位(賃貸)の費用」で、ざっと400万円。合計1400万円程度を負担するのが一般的なのだそうです。

さすがに、自己負担1000万円を越えてしまうと、特に高齢者の方々は、もうこのままでいい。って思ってしまいますよね。仕方ないです。
では素朴な疑問。
建て替えを行ったマンションは、どうやって上手く問題をクリアしたのでしょうか?
それは建て替えした時に、マンション全体に入ってくる「収益」を上手く利用したそうです。
ここでの収益とは、建て替える際、従前より戸数を増やし、増えた住戸を売却し、その利益で建て替え費用を賄う方法です。わかりやすく言えば住戸の売却利益のことです。
ざっくり言うと、建て替え前は50戸、建て替え後100戸に。増えた50戸を販売して、その利益を費用に充てるという手法ですね。
実際、多摩ニュータウンのマンションは
640戸→1249戸へ
世田谷のあるマンションは
404戸→878戸へ
戸数を増やし費用負担0円の夢の建て替えを実現させています。すごいですね。

ただ、この2つのマンションは敷地に余裕をもって建物が建てられていたため、建て替えで戸数を増やせました。多摩ニュータウンは床面積が上限の3分の1しか利用していたなかったそうです。
そうなると、都心部で見られるような敷地いっぱいで、容積率にも余裕がないマンションは、このやり方は無理だという結論に至ります。
やはり所有者のまとまった金額の出費は避けられそうにもないですね。

勿論、40年前に建築されたマンションと、近年建築されたマンションでは品質は段違いです。100年コンクリートと名付けられたコンクリートを躯体に使用していれば、その言葉通り1世紀は持つでしょうから、40〜50年というスパンで建て替えの時期が到来するとは考えられません。
ただ、どんなマンションであれ、いずれにしても、その終焉は必ず到来するわけですから、購入する時はそのマンションの修繕計画とか、支払の負担等よくよく見極める必要があるというのが、私自身の考えです。

リフォーム業に従事している私としては、この建て替え問題が今後どのような展開を見せていくのか、これからも注目していきたいと思います。

震災の影響を受けた老朽化マンション

さて、建て替えの件について、色々勉強して綴ってきましたが、なるほど、建物全体の建て替えは無理だけど、専用部分は各所有者の好きにできます。部屋内をスケルトンにして、間取り含めて一から作り直し資産価値を上げるリノベーションという発想が、こうしたところの流れから生まれてきたのかもしれませんね。

次回以降でリノベーションについて思うところをご紹介したいと思います。

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