国土交通省の発表によると、全国で築40年以上の老朽化したマンションは約73万戸あるが、建て替えられたマンションは実に250件程度しかないそうです。
これはすごいデータですね。
老朽化が進んで暮らしにくくなることを実感していても、なかなか所有者の建て替え同意を得ることができないそうです。
建て替えには所有者の4/5以上、つまり8割以上の所有者の同意を得なければ、建て替えはできません。
まずなんと言っても、所有者の同意を得られないのは、所有者の思惑が多様すぎるのが第1の原因だそうです。
永住志向の人もいれば、その志向はなく、物件にプレミアムがついて購入価格より価値が上昇するのを待って売り抜けようとする人、また投資用として購入し、賃貸に出してその収入をあてにしている人、また投資した人が外国人で複数物件を有しているなど、所有者の事情が複雑な為だとされています。 また建て替えするには、完成までの間、引越し先をどうするのか、その費用をどうやって捻出するのか?問題は山積みなのだそうです。
そういえば2年前、横浜市で販売された大規模マンションで、建物を支える基礎杭が支持層(マンションを支える固い地盤)に達していないことや、施工データの改ざんが発覚した事件は記憶に新しいですよね。販売主が全面的に非を認め、最終的には建て替え決議が可決されました。
勿論、全居住者の引越し費用含め、全て販売主が負担することになったのですが、所有者の中には、建て替えに異議を唱えた方も少なくなかったらしいです。
それは、仮住まいが近隣に確保できなかった場合、子供を転校させなければならない等、生活圏が変わることを嫌っての意見が多かったとか。その方々は建て替えではなく、補修工事と慰謝料での交渉を望んだそうです。
問題になった傾斜マンション
所有者に金銭的負担の全くない建て替えであっても、このようにスンナリ決まらないのですから、老朽化による建て替え決議であれば、所有者に何らかの金銭的負担があるケースですから、冒頭の建て替え件数(全国で250件)であるのも、仕方ない気がします。
つづく